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東京凰籃学院の研究

(最新確認版2024年8月10日)

前書き

 東京凰籃学院(http://www.oran.co.jp/)は大学受験のための塾です。無名の塾ですが、娘が大学受験の時に通い、お世話になったことから内情を知ることができました。

 娘が塾から帰るたびに、とても明るい表情をしていることに気がつきました。食事の時にもときおり東京凰籃学院の授業を思い出して笑っていたので、とにかく尋常な塾ではないと思い、娘が東京大学に合格してから少し話を聞いてみました。娘と一緒に東京凰籃学院に通い続けた同じ高校の子たちやクラスのメンバーも全員が東京大学に合格しました。

 非常にユニークな塾であり、東京凰籃学院は塾の究極的な理想型ではないかと感じます。多くの人に勧められる塾であることから簡単なレポートを作ったところ、メイン記事である故事成語関係のページよりも反響が大きかったのでここに残すことにしました。また、下部に「東京凰籃学院に関するQ&A」を設けました。

 なにがしかのご参考になれば幸いです。

私家製 東京凰籃学院の研究

1 対象・目的

 高校生と中学生。例外的に小学生も受け入れる。目的は難関大学受験だが東大専門というわけではない。中学受験や高校受験の指導は通常行っていないし案内書にも記載されていない。ただし小4以上であれば従来から受け入れている。2014年11月には小1から中3までの「小・中学生プライムグレード」が公式サイトに掲載された。学費がきわめて安いため東大のような受験科目数が多い大学にも容易に対応可能である。

2 入塾方法

 基本的に知人から塾の連絡先を聞いて資料請求する。殆どの塾生がこの形で入塾している。東京凰籃学院はもはや「入塾イコール東大合格」の様相を呈しており、問い合わせが多すぎて対応できなくなるため住所や電話番号は一般には公開していない。Webサイトでも資料請求もしくは東大プレミアムコースに申し込めるが、抽選がある。倍率は不明だが、娘の周辺では、一度で入塾できた人が3分の1ほど、他は数回の応募を経て入塾している。抽選は乱数による。

 案内書を入手し締切前に申し込めば無選抜のクラスには必ず入れる。東大プレミアムコースも抽選に通れば簡単な作文だけで受講できる。作文は資料を見て感想を自由に書く形式。ただし夏期講習などは作文すら課されないのが慣例。

 すなわち成績は問わない。それで殆どの生徒を東京大学に合格させる。なぜそのようなことが可能なのかは以下で順次明らかにする。

3 合格実績

 殆ど全員が東京大学に合格する。

 塾自体は東大専門ではなく難関大学全般を見る態勢を整えており、実際、わずかだが東工大、北大、横浜国大、東北大などにも進学する。

 もちろん実績には講習生などの短期受講者や、高2までしか受講していない者は含まれない。この塾ではこれら短期受講者等に関する数は紛らわしいので存在しない扱いとなる。実績に算入されないだけでなく問い合わせても一切言及されない。実際にはその中から理科三類を含む相当数の東大合格者が出ているのを私自身も知っているが、やはり紛らわしいので本稿でも無視することとする。

 公表される実績はすべて、高3または浪人で通常講座を受講した生徒のものである。例年東大合格率は対受験者比で100%である。さらに出席が芳しくないなどの生徒は合否にかかわらず合格実績の算入対象外となるが、それら対象外の生徒も殆どの年で東大合格率は100%である。すなわち基本的に不合格はゼロ。算入対象外の生徒は合格しても氏名は掲示されない。ゆえに公表される合格者よりも実際の合格者はかなり多い。年度によって稀に現役合格を逃す者がいても浪人クラスに通い続けるのが普通で、結果として東京大学に合格する。

 ここにあるように、現在では無選抜入会の個別指導生が全員東大を受験し合格することも珍しいことではない。

4 算入/不算入制度

 普通の塾では合格者の数をそのまま公表する。しかしこの塾では宿題など所定の努力をした生徒のみを合格実績に算入する。生徒に算入対象になるよう努力させ成績を上げるのが狙いである。

 算入対象になるには明瞭な基準があるため、中には当然対象外になる生徒も出てくる。しかし算入対象外となった生徒はよりいっそう努力することになり、結果として、上記のように東大合格率は100%になるのが通例である。

 同時に、出席不振や宿題をやってこないなど通塾状況が芳しくない生徒については、合否にかかわらず実績の対象外となる。これが「不算入」である。塾の影響が及んでいない生徒なのであるから不算入は当然かつ良心的な措置なのだが、実はそれだけではない。

5 不算入の意味

 不算入の制度は、生徒募集の方針と密接な関係がある。東京凰籃学院の生徒募集の方針は「すべての人に最高の受験教育を」である。これはパンフレットにも記されているが、「すべての人」という点に注目されたい。最初から入塾者を成績で選ぶ気がないのである。

 「東京凰籃学院の指導は受けたいが、自分のような成績の悪い者が入塾して合格率を下げると迷惑にならないか」という応募者の心配に対し、「もしついて行けないなどの場合には不算入にすることもできるから気にしないで欲しい」というやりとりの中で作られた制度である。この制度によって、どんな人も心おきなく東京凰籃学院の指導を受けることができる。この「阿吽の呼吸」ともいえる不算入制度を理解できるかどうかが、次項に述べるように重要な鍵となる。

6 入塾者の構成

 有名校の生徒が殆どである。クラスに1〜2名は無名校の生徒がいる。これは東京凰籃学院が公表しているデータに一致する。成績は上から下まで幅広い。全国模試に氏名が出ている生徒からE判定まで。

 成績下位の者は上述の「阿吽の呼吸」を理解し、「不算入にしてもらっていいから東京凰籃学院で学びたい」と希望する者たちである。しかしこの「阿吽の呼吸」を理解している時点で実はかなり知能が高いと言え、その前向きな姿勢と相俟って、結局は成績を伸ばし東京大学など一流大学に合格する

 これが高い合格実績の秘密の一つである。

7 宣伝

 東京凰籃学院では宣伝を殆ど行わない。これは宣伝をすると雑多な応募者が集まり、上述「阿吽の呼吸」の分かる者が疎外される原因となるからである。そのため的中リストや合格体験記など、宣伝力の高いコンテンツの発表をあえて遅らせるなどの措置を執る。ただし合格実績だけは生徒の努力の果実であるとの見地から、顕彰の意味で即座に公表される。宣伝を控えることにより、東京凰籃学院の方針をよく理解し、入塾を強く希望する者のみが集まる。

 このこともまた高い合格実績を下支えしている。生徒もこれをよく理解しており、むやみに人に話さない。この記事が万一宣伝になってしまうと申し訳ないが、従来訪問者も少なく宣伝の意図もない備忘録のようなページなのでお許し願いたい。

8 クラス分け

 年間が9つの「受講期」に分かれており、その都度クラス分け試験を行う。試験問題は入試問題とオリジナル問題が半々。易も難も混じり、よく練られている。英語は和訳や英作文などの論述問題が主体だがたまに文法問題も見られる。数学は簡単な計算問題から東大入試レベルのものまで幅広く出題されている。地歴や理科はある時とない時がある。試験問題は全学年共通。

9 クラス構成

 コース案内にあるように生徒のレベルに応じ幅広い講座選択が可能であるが、大きく分けてクラスは二種類である。すなわちクラス分け試験で一定点数が必要な「選抜クラス」と、点数不問の「一般クラス」である。

 選抜クラスは一斉講義を主体とし、一般クラスは個別授業が主体である。それぞれの枠内で曜日や時間を選ぶことができるようになっている。この他に次項に述べる「単科受講」という認定形態があるが、受講者は年に一人いるかいないかである。

 なお、選抜クラスの一斉講義では成績と関係なく入塾時期によって曜日を分けることがある。東京凰籃学院では優先的に学ぶべきことがある程度決まっており、その点で既習者と未習者で差があるからである。

10 コースと単科

 殆どの生徒は週2日もしくは3日の「総合コース」で受講する。週1日の「単科受講」もあるが、単科で受けると進度が遅れがちなので、クラス認定試験で一定の成績をとっておく必要がある。従って、クラス分けの認定は都合、「総合コースの選抜クラス」「総合コースの一般クラス」「単科」の3種となる。このいずれかにすべての生徒が属することになる。しかし上述のように単科受講の生徒は殆どおらず、いたとしても大概は成績面で総合コース生に大きく差をつけられ、次期から総合コースに入るか脱落する。

 一方総合コースでは全科目を俯瞰した上で科目の壁を越えた対策も行われる関係で、効果は著しく高い。実際、総合コースでは、後期試験の論文のようにいずれの教科にも属さないものを学ぶことができる。

 総合コースでは一日2科目を受講できるので、週2日なら4科目、週3日なら6科目となる。ただし高3の2学期以降は上述の後期対策などの授業が割り込み、時間割がやや不規則になる。

11 継続受講

 継続率は極めて高く、殆どの生徒が入試まで受講する。これをレギュラー出演陣とすると、少数だが数期しか続かない生徒がたまに入って辞めるので、各学年とも0〜2席だけが時折ゲストコーナーのようになる。従って新入会者がレギュラーに加わる以外は生徒の顔ぶれは殆ど変化せず、熱心な生徒に囲まれ安定した環境で受講できる。

12 授業

 一斉講義は殆ど塾長である細水正行氏が担当する。比喩や雑談を巧みに用い、強く印象づける講義が特徴。プロ芸人も顔負けのトークで笑いをとる。この笑いこそが生徒の勉学を鼓舞し後押しする大きな動力となる。上に娘の例を述べた通り、塾長の講義力が、高い合格実績のさらなる秘密である。

 他の生徒の保護者も「思い出し笑いをしてくれれば、それだけで復習になりますからね」との塾長の父母面談時の言葉が印象的だったと語る。

 なお、細水正行氏はこれほどの能力がありながら、色白・美形の抜群の容姿であり、生徒の憧れの存在となっている。

 個別指導は「笑い」ではなく「網羅性」を前面に出す。コンセプトは「基礎に欠落がない=安心」である。学ぶべきことはすべて使用テキストに記載されており、講師による解説力の差は出ないようになっている。講師はマニュアルに従って学習範囲を指定していく。早い時期に全範囲を一通り終わらせるのを目標とする。

 一斉講義と個別授業のどちらがいいかは生徒の性格や科目ごとの進度による。一斉講義のほうが魅力的に見えるかもしれないが、遅れた科目があるときには個別指導のほうがよいだろう。合格優先である。

13 入試的中

 東京凰籃学院で学んだ内容から東大の全問題が的中する。これは娘の持っているプリント類からも明らかであり、的中リストの通りである。的中と言っても英語や現代国語の文章まで当たるわけではないから、必ずしも全問題が的中リストに掲載されるわけではない。しかし個々の小問で問われる論述のテーマは必ず網羅している。なお2008年度東大入試では、英語第1問の英文そのものが的中している。

 過年度に的中した問題が再度的中するのは珍しいことではない。これは的中リストに過年度に掲載された問題と同じものが、後年しばしば再度掲載されていることからもわかる。

 個別指導で用いたプリントや問題集からも多く的中しているが、的中確率は後述する選抜クラスのプリントのほうが高い。そのため学習が進んだ生徒には個別指導でも選抜クラスのプリントが配布される。

14 教材

 教材は二種類である。一つはプリント教材。選抜クラスのものと個別指導のものがある。特に前者はレベルが高い。東京凰籃学院が作成したオリジナル問題が多く含まれ、これが多数的中する。出題者の興味をよく捉えており、入試問題として拝借したい程である。上述のように、学習の進んだ個別指導生にも配布される。

 いま一つは市販の参考書や問題集。これは宿題、および初学者の個別指導に用いられる。あまりに基礎的なプリントは発行しない。「基礎に関しては、市販の素晴らしい参考書・問題集がいくらでもあるので積極的に利用する」方針。

15 受講料

 時間単価の初期設定値は一斉講義1750円、個別指導1950円となっており、非常に安い。総合コースではそこからさらに割引され、しかも継続手続のたびに割引率が上がっていくので、年間受講料も大手予備校の本科より安い。受講料は過去一度も値上げされたことがない。消費税導入も増税も全く反映されておらず、塾側が消費税を全額負担していることが分かる(2014年4月の消費税増税後も据え置きのようである)。上述の如く一年が9個の受講期に分かれているため、受講料も1年に9回の分割納入となる。きわめて安心である。

まとめにかえて

 このような塾が存在するという驚きに任せ、私が知り得たことを記録しました。東京凰籃学院に貫徹している基本理念は「徹底した良心」です。ここを理解できないと摩訶不思議な塾に思えるでしょう。

 本稿はいわば備忘録のようなものであり、この情報をどのように利用されるかは読者諸氏次第です。しかしいずれにしても相当に正確であることは請け合って良いかと思います。ここに記した以外の情報については東京凰籃学院の公式サイトが非常に充実していますので、是非そちらをご覧ください。

謝辞

 本稿を執筆するに当たり情報をいただいた方々に御礼申し上げます。特に娘の同級生とその親御さん、貴重な資料をご提供いただいた教育系サイトの管理人様には自分の認識が正しいことを確信させていただきました。本当にありがとうございました。また「よく分かった」「すっきりした」とのコメントをいただいた皆様、お返事も差し上げず大変失礼いたしましたが、ここに御礼申し上げます。


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